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ミニマリスト見習いのアラサー女。最小化計画の進捗と、本・音楽・映画の感想

新堂冬樹 「摂氏零度の少女」 (幻冬舎)

摂氏零度の少女

摂氏零度の少女

世間を驚愕させた「女子高生タリウム事件」

長期間に渡って母親に猛毒タリウムを摂取させるという前代未聞の「実験」を行った少女が逮捕された、あの事件をモチーフにしたんじゃないかと思われる。(ってか、絶対そうだ)

この先,ネタバレあり。

はっきり言って、興ざめ。あんなにショッキングな事件の背景を拝借してるのに!語弊があるかもしれないけど、もったいなさすぎる。

彼女は子どもの頃に、大好きだった子犬「リトル」を病気で亡くしてしまうという経験をしている。その際に母親が安楽死させることを選択したことを知り、「辛いのなら死なせてあげるのがいちばん」と思い込んで、それから様々な動物の命を奪っていく。その延長線上にあったのが、母親を死に向かわせる実験。

少女の頭の中に「動物がたくさん棲む森」があって、動物達が彼女の心理を描写する役目を担ってるんだけど、その台詞が全部カタカナなのが子供だましのようで興ざめ。読みづらいし。異常性を強調したつもりかもしれないけど、別に普通の日本語表記で良かったと思う。

そして、子犬の死っていうのが彼女の異常心理の理由にしては軽い。軽いというか、ここは作者の力量不足で、これを理由にするならもっと深い描写が必要だと思う。彼女は凄く動物が好きだという設定にしているのは分かるけど、動物を殺すシーンが多過ぎてただの変質者にしか見えない。(動物好きな人にとっては不快極まりない…のは仕方ないか)

さらに、途中までは彼女の初恋の人もキーパーソンになっているのに、彼女が彼と再会してからあっさり出番がなくなるのも不自然。実験報告の場であるブログのハンドルネームにもするほど彼女は彼のことを忘れられずにいたはずなのになぁ。こんな適当に終わらせるなら、再会のシーン要らないんじゃないの。

全体の印象は,「適当すぎじゃない?」
一生懸命に少女の異常心理を描写しようとしてるのはものすごーくよく伝わってくるんだけど。詰めが甘過ぎて中学生が妄想で書いた創作文みたいな出来。

実際の少女本人にインタビューとかしたのかなぁ。そうじゃないとこういう本は無理だと思うな。だって、異常心理って正常な人には分からないでしょ。インタビューしてこれなら、この作家はクソだな。