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ミニマリスト見習いのアラサー女。最小化計画の進捗と、本・音楽・映画の感想

姜尚中 「悩む力」 (集英社新書 444C)

悩む力 (集英社新書 444C)

悩む力 (集英社新書 444C)

自分の将来や、周囲の人々について考えすぎて、人間恐怖症に陥ったのかと思うくらいに、どん底にはまっていたとき、本屋で見つけた…。

これはまさしく、神の導き。

最近、バカキャラブームに見て取れる様に、真面目に思い悩むことはバカバカしいとする風潮がある。極端に楽観的で、悩みが無い人間がいいとされる。でもそれって、何も考えてないってことじゃん?と私は思っていて、世間の空気に違和感を感じていた。そんな私の苦悩を、ずばり言い当てているのがこの本。

彼は夏目漱石マックスウェーバーが好きで、「現代の悩める人々は、100年前の漱石やウェーバーと同じような違和感を感じているのでは」という考えがベースになっている。「世間の流れに違和感を感じるが、結局それに乗って生きていくしかない」という悲観的な感覚が、共通しているのではないかと。

悩める人々よ!きみたちは素晴らしい!というような暑苦しいテンションではない。彼自身、若い頃に「悩む」という谷底から抜け出せずに苦しい思いをしていて、その経験を振り返りながら、淡々と優しい口調で話を進めている。非常に読みやすい。
こうすべきだ、とか、こういう人間はダメだ、とか最近の啓発本にありがちな押し付けがましさは感じられない。主張ははっきりしているのに、押し付けがましさを感じさせないのは、卓越した文章能力と、彼の客観的な視点のおかげではないだろうか。

ただ、私は漱石やウェーバーをあまり読んだことがないので、きちんと理解することはできなかった…。漱石の「それから」くらいは読んでからのほうが、より楽しめそう。