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ミニマリスト見習いのアラサー女。最小化計画の進捗と、本・音楽・映画の感想

雫井脩介 「犯罪小説家」

犯罪小説家

犯罪小説家

やっぱりミステリーが好き。ということで、雫井脩介に初挑戦。

小説家の待居は、クライム文学大賞を受賞した新作「凍て鶴」の映画化の話を持ちかけられる。脚本・監督を担当するのは、奇才・小野川。しかし、心中や自殺など登場しない作品であるにも関わらず、自殺した木ノ瀬蓮美や、彼女が管理していた有名な自殺サイト「落花の会」との関連性について、小野川は執拗に関心を寄せる。彼は木ノ瀬蓮美の自殺現場を目撃しており、その美しさにひどく魅せられているようだ。自殺願望・破滅願望と作品とを結び付けたがる小野川に、強い嫌悪感を隠せない待居。そんな待居を気にも留めず、小野川は、ライター今泉知里に落花の会について調査を依頼する。かつて自身も自殺願望を持ち、集団自殺についての著書もある今泉は、再び「落花の会」の謎、そして木ノ瀬蓮美の自殺の真相に迫るが…

この物語、とりあえず小野川のキャラが強烈!明るく朗らかではあるが、思い込みが激しく、常に自分の世界で物事を捉えているような人間。その何ともいえない押し付けがましさは、不気味ささえ覚えるくらいに異常なもの。実際、待居は彼の存在を脅威に感じていくわけだが…。

途中から今泉がメインになって、落花の会や木ノ瀬蓮美の謎を追う設定になるので、もう少し今泉の人格がはっきりしていたほうが良かった。以前付き合っていた男性の自殺が、彼女が自殺ということに興味を持つ重要なきっかけのひとつであったとするなら、もっと描写したほうが良かったと思う。そうることで、ラストのインパクトがもっと強くなるのでは。

多少尻すぼみしている感は否めない。あまりサプライズがないので。でも、とにかく小野川に終始振り回された…ラストの彼の奇人っぷりは必見。「犯罪小説家」が何を暗示しているかも、ラストに分かります。