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ミニマリスト見習いのアラサー女。最小化計画の進捗と、本・音楽・映画の感想

美嘉 「恋空」

恋空〈上〉―切ナイ恋物語

恋空〈上〉―切ナイ恋物語

ちゃんと読まずに批判するのはマズイかな、と思って、ネットで読んだ。

読み終わった瞬間、まず感じたのは「不気味だな」ということ。終始一貫して、自身と同じ名前をもつ主人公を汚さずに描き続ける作者に、ただならぬナルシシズムを感じた。文章のおかしさや稚拙さはもちろん耐え難いものだったけど、それよりも文章から感じ取れる病的な自己愛に、寒気を覚えた。ブログに対する批判的なコメントは削除されるらしいし。。。誇大妄想癖?

ある種の読者は、この物語を「ほとんど、もしくは全てが事実である」と信じているようだ。批判する人に対して、「美嘉さんの気持ちを考えてほしい」と熱く語る人間もいるくらいだから、ファンの多くは「美嘉やヒロは実在の人物、恋空は(ほぼ)ノフィクション」と考えているのでは。

しかし、正体不明の人間がネットに流した一編の低級な物語に、どれほどの信憑性がある?何を根拠に、この話は事実であると言える?

「事実に基づいたお話」とあり、作者はあたかも自分が経験したことのように話を進めていくわけだけど、実際この話がどこまで本当なのかは誰も分からない。例えば、99%が嘘―失礼、フィクションだったとしても、誰も責められない。つまり、「男と付き合って別れた」という経験さえあれば、誰でもこの話を書くことが出来る。100%フィクション、という可能性だってある。

美嘉が書いているとされるブログだって、誰が書いているか分からない。仮に作者が書いていたとしても、恋空自体がどれほどの事実を含んでいるのか不明なのと同様、妄想の延長である可能性は低くない。また、書籍化、映画化、ドラマ化、コミック化されているくらいだから、その制作に関わった人間は作者に接触しているはずだけど、例え彼らが作品の信憑性に疑問を抱いたとしても、口を割るとこはないと思う。商品としての価値を下げることに繋がるからね。

この話が全くの作り話で、ただ注目度を高めるために「事実に基づく」と言ったのだとしたら、この作者は言うまでもなく、流行に乗って「名作」であるかのように取り上げたマスコミも最低レベル。レイプや流産、癌という問題を軽々しく扱い、しかもそれを主人公を美化するために利用しているわけだから。

まぁ、事実であるか否かはもう誰にも分からないだろうから、ここを追求しても仕方ないか。信じたいなら信じればいいし、嘘だろ!と思うなら信じなきゃいい。ただ、与えられた情報を鵜呑みにする怖さみたいのを感じた。

この作品や作者の信憑性は別にしても、やはり口が裂けても小説とは呼べない酷い作品。ただの低レベルな文章の羅列に過ぎない。こんなのを読んで「読書」した気になってる中高生が心配。