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ミニマリスト見習いのアラサー女。最小化計画の進捗と、本・音楽・映画の感想

天童荒太 「悼む人」

悼む人

悼む人

昨日1日かけて読んだ。第140回直木賞受賞作なので、知ってる人も多いかと。

坂築静人は、死者を「悼む」ために日本中を歩き回っている。「悼む」とは、亡くなった人を忘れずに覚えておくと約束することだという。彼は、事故死した人間も殺された人間も自殺した人間も、差別することなく悼む。彼は一体何者なのか?

物語は、ひょんなことから静人を知った週刊誌の記者・蒔野抗太郎、静人の母・坂築巡子、夫殺しの刑期を終えて出所してきた女・奈義倖世の3人の視点を通して、静人がなぜ「悼む」ために旅を続けているのかという問いに迫る。

静人の行為自体が死者を対象としているため、物語のあちこちに“死”が出てくる。しかし、この物語は死ぬことを題材にしているのではなく、死者を忘れてしまうことに対する静人(もしくは生きる者)の罪悪感を主題にしている。人の死をネタとして扱う蒔野と、末期癌に侵されて葛藤しながらも懸命に生きる巡子が対照的に描かれているし、倖世が殺した夫の朔也を通して「人間が生きる理由、死とは何か」という疑問が投げかけられる。なかなか面白い、と思いながら読み進めた。

けど…終盤はかなり散漫になった印象を受けた。中学生の創作文のような、詰めの甘さ。私がミステリー慣れしてしまっているからかもしれないけど、「何でそうなったの?」「いきなりそうなっちゃうわけ?」「結局どうなったの?」と思う箇所が多すぎる。話自体も、なんだかファンタジーかSFみたいな展開になって、何が言いたいのかよく分からない。そんなきれいごと尽くしで終わらせなくても良かったんじゃないの、と思ってしまう。

せっかく興味深い主題だったのに、最後は宙ぶらりんになっちゃったなと感じた。