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ミニマリスト見習いのアラサー女。最小化計画の進捗と、本・音楽・映画の感想

中野京子 「怖い絵」

怖い絵

怖い絵

三島はひとまず休憩で、軽めの本を1冊。

このシリーズは既に第3弾まで出ているそうで。有名な絵画の裏に隠された秘密を垣間見ることができるとなれば、そりゃ興味もそそられる。

この本では世界的に有名な絵画20作品について、作製された時代の背景や作者の生い立ちなどを絡めながら、著者が解釈を述べている。著者の専攻がドイツ文学、西洋文学史なので、作品は西洋のものに限られている。

面白い、というか、興味深い内容だった。作者の内面性が前面に押し出されている作品もあれば、一見ただの美しい宗教画であったり精巧な風景画だったりもする。しかし、全ての絵画には少なからず作り手の精神が影響しているはずだ。そして、人の精神は、周囲の環境や時代、人間関係から多大な影響を受ける。そういう意味で、絵画を観るのであれば、その作品が作られた時代や画家の人生を知っている方が面白いのは確かだ。

作品の時代背景や画家の人間性にのみ触れているというわけではなく、著者がその作品の解釈を思いのほか熱弁している。怖い絵、という題名をつけたくらいだから、紹介されている作品それぞれにあらゆる種類の恐怖が潜んでいるわけだが、私としては著者があまりに恐怖を強調しすぎていて、逆に興醒めてしまった。もう少し客観性のある文章の方が、読者の想像力をかきたてて恐怖は倍増するんじゃないかと思った。

まぁ文体は好き嫌いが分かれるにしても、日本人が理解に苦しみやすい宗教画についても丁寧に説明されているし、世界史の教科書に出てくるような歴史的革命や事件と絡んだ絵画も紹介されているし、完全に画家の精神世界を投影したような作品も紹介されている。人間を惹き付ける「怖い」が美しい絵画に潜んでいるという事実は、やはり興味深かった。