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ミニマリスト見習いのアラサー女。最小化計画の進捗と、本・音楽・映画の感想

東野圭吾 「新参者」

新参者

新参者

東野圭吾の加賀恭一郎シリーズ。2010年このミス!1位の作品です。

東野圭吾とはイマイチ相性が合わなくて、何冊か読んでも「あと1歩がなぁ」と思ってばかりいたんですが、この作品はヒットでした。前に面白い!と思った「悪意」も加賀シリーズなので、私は加賀が好きなんだろうな。

小伝馬町で、ある女性の絞殺死体が発見され、日本橋署に配属された加賀は所轄の刑事として事件の解明に乗り出す。加賀は、江戸文化が色濃く残る甘酒横丁の人々に聞き込みをしながら、徐々に事件の核心に迫っていく―

読み始めたときは、「本当にミステリーなのか?」という印象だった。人は殺されているものの、加賀が聞き込みをする相手は事件自体を知らない人も多く、どこにでもありそうな人々の生活が描かれていて、ミステリーに付き物の緊張感がほとんど無い。それぞれの登場人物たちに関する、人情味溢れるエピソードと共に、ゆったりした時間が流れる。しかし、もちろん登場人物たちの生活が少しずつ被害者に関係しているわけで、それらが加賀の頭脳に集約され、終盤にはしっかりしたミステリーとなる。

ミステリーはたいてい切迫してる空気の中で話が進むけど、この話は温かさがちりばめられているところが新しいなと感じた。事件そのものというより、それぞれの登場人物や被害者の人柄、そして加賀の人柄が際立っている。トリックとか謎解きばかりがミステリーじゃないんですね。人間の内面こそ本当のミステリーなのかも、と思わせてくれる作品。

とにかく、新感覚のミステリーだった。加賀シリーズはもっと読みたいな。