ミニマリズムと読書ときどき映画と音楽。

ミニマリスト見習いのアラサー女。最小化計画の進捗と、本・音楽・映画の感想

村上春樹 「ノルウェイの森」

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

去年のクリスマス、友達がプレゼントしてくれた本。基本的にミステリー以外の小説は買わないので、私にとって初の村上春樹でした。

時は1969年前後、主人公ワタナベの大学時代の出来事・・・というより、人間関係を中心に話が展開していく。軸になっているのは、彼の愛する女性・直子の存在。直子は、交通事故死したワタナベの親友・キズキの恋人だった女性で、キズキの死後に2人は接近していくのだが、直子は精神を「療養」するために施設に入ってしまう。

直子の他にも、個性豊かな人物が何人か登場する。ワタナベと同じ寮に暮らす東大生・永沢や、ワタナベと同じ大学に通う少し過激な女の子・緑、直子と同じ施設で生活している中年女性・レイコ。彼らに共通しているのは、世間に息苦しさを感じていたり、疑問を感じたりしているところ。登場人物は少なく、それぞれの人間がじっくりと描かれている。

1969年というと、私が生まれる20年ぐらい前のことなので詳しくは分からないが、日本ではちょうど全学共闘会議の運動が激化していた時代だ。世界的には、ヒッピーが広がりを見せている時代。いずれにしても、若者のエネルギーが社会を覆っていたということだろうか。

主人公の周囲にいるのは「変わった人」ばかりだ。みんなが世間に馴染めない(もしくは意図的に馴染まない)でいる。なので、何か隔絶されたような空気が小説全体を包んでいる。とても静かな小説だった。

村上春樹は「売れている」作家なのでなんとなく敬遠いたんだけど(子供だなぁ)、読んで良かった。現代の小説らしく1文1文は短いけど美しい。なにより、登場人物の台詞回しを含め、どこかしら非現実感をまとった文章によって、この小説の世界観が徹底して作り上げられていると思う。いや、私がこの時代に存在していなかったから、非現実的に感じるだけかもしれないけど。。。

どうしようもなく悲しいけど、とても素敵な小説でした。