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ミニマリズムと読書ときどき映画と音楽。

ミニマリスト見習いのアラサー女。最小化計画の進捗と、本・音楽・映画の感想

折原一 「黒い森」

黒い森

黒い森

「ツアーの目的地で待ってます」というメールが、引き離された恋人・留美男から届いた。樹里は指示された通り、とある旅行会社企画のミステリーツアーに参加する。1泊目の民宿で聞いた話によると、近くの樹海に住んでいた作家が、スランプに陥って気が狂い、家族を惨殺したという伝説があるらしい。そして、このツアーの目的地はその樹海、そして、その作家の一家が住んでいた山荘だった―

という話。なかなか不気味そうでいいじゃないか、と思って読み始めた。

この本は変わった構造をしている。表紙から読むと、ヒロイン樹里の話。裏から読むと、樹里の恋人・留美男の話。そして、中央部には袋とじがある。表と裏、どちらから読んでもいいけど、袋とじは最後に読んでね、ということだ。

まぁそういう遊び心はいいとして、内容はかなり陳腐だ。想像していた通りに話が進むので、どこでどんでん返しがあるんだろうとドキドキしていたのに、結局そのまま終わってしまった。あ、そうなの・・・って感じ。袋とじなんて何の為に作ったんだろう。樹里のエピソードも留美男のエピソードも袋とじの内容も、全部つなげてしまって構わないと思う。文章のせいか何なのか、場面も想像しづらかった。

良かったところは、樹海で独りになってしまった樹里の心理描写。真っ暗な樹海でどんどん恐怖が膨張していくのがよく伝わってきて、スリリングだった。まぁ、それが序盤にあったから、期待して読み進めたんだけどね。

作家なら、本の構造をいじくるなんて小細工はやめて、内容で勝負してほしい。