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ミニマリスト見習いのアラサー女。最小化計画の進捗と、本・音楽・映画の感想

岡嶋二人 「99%の誘拐」

99%の誘拐 (講談社文庫)

99%の誘拐 (講談社文庫)

久しぶりにミステリーを読んだ。私のミステリーランキングの中で、かなり上位に食い込む作品。ちなみに本作品は、第10回吉川英治文学新人賞を受賞。

昭和50年11月末、大手カメラメーカー・リカードの半導体機器開発事業部長、生駒洋一郎は、末期の胃癌で入院した。そこで彼は、7年前の事件―息子・慎吾が誘拐された事件―に関して、慎吾宛に手記を残し、その生涯を閉じた。それから11年後、リカード社長の孫が誘拐される事件が起こる。全てがコンピューターによって制御された事件の捜査は難航する。さらにその事件は、慎吾誘拐事件と関係があるようで・・・

この作品は1988年に刊行されたそうで、コンピューター制御といっても現代ほどの技術があるわけじゃない。それでもこの物語に引き込まれるのは、しっかりとした人間ドラマがあるからだと思う。かといって、緊張感はあるけど重苦しさはなく、スピード感もある。ラストが少しあっけない感じがしたけど、本当によくバランスのとれた作品。ネタバレになるのであまり詳しく書けないけど、この作品の魅力は孤独感と切なさだと思う。

岡嶋二人:徳山諄一と井上泉の共作筆名。代表作は、「焦茶色のパステル」(1982年、第28回江戸川乱歩賞)、「チョコレートゲーム」(1986年、第39回日本推理作家協会賞)。1989年、「クラウンの壺」刊行と同時にコンビを解消した。