ミニマリズムと読書ときどき映画と音楽。

ミニマリスト見習いのアラサー女。最小化計画の進捗と、本・音楽・映画の感想

伊坂幸太郎「重力ピエロ」

重力ピエロ (新潮文庫)

重力ピエロ (新潮文庫)

テレビを見ていても、同じ失敗を何度も繰り返す東電に腹が立つだけなので、また本を読んだ。

伊坂幸太郎・・・前回読んだのは「オーデュボンの祈り」。全体的に不安定でフワフワした空気はすごく好きなんだけど、レイプが出てくるのがなぁ・・・と思っていたら、今回の作品でも出てきた。作者は、性やそれに纏わる物事に何か強く思うところがあるのかもしれない。物語を盛り上げるために軽率に性やレイプを扱うものは大嫌いだけど、ここまで深く掘り下げられると、読む側の私も「嫌だなぁ」なんて言っていられないわけで、頑張って読んだ。

兄・泉水と弟・春。母親の辛い経験から生まれた春だが、周囲の冷たい視線に屈することなく、家族は幸せに生活していた。兄弟が大人になった頃、連続放火事件が発生する。そして、事件現場に出現する謎のグラフィティ・アート。謎解きに乗り出した泉水がたどりつく結末は―

作品全体に漂う、伊坂幸太郎独特の現実離れした空気が心地よい。決して軽い話ではないし、フワフワした空気の中に切なさも充満しているんだけど、重くなっていない。重くないのに、胸にドンと響く。何なんだろうこの作品・・・久々に感動、というか何と言うか・・・この感覚をうまく表現できない。

オーデュボンの祈りでも思ったけど、「美しい人」と「醜い人」の対比が、すごくハッキリしていると感じた。作者の中で、何か確立したものがあるんだろうか。