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ミニマリズムと読書ときどき映画と音楽。

ミニマリスト見習いのアラサー女。最小化計画の進捗と、本・音楽・映画の感想

三島由紀夫「命売ります」

三島作品ではライトノベルの部類かと。Amazonで引っ掛からなかったけど、あまり売ってないのかなぁ。

自殺に失敗した羽仁男は、新聞に「命売ります」と広告を出し商売を始める。妻を殺してほしいという老人、怪しい取引の身代わりになってほしいという女、吸血鬼である母親の相手をしてほしいという少年・・・羽仁男を訪ねてくる人々の相手をしているうち、羽仁男の内に変化が生まれる―

金閣寺」や「豊饒の海」シリーズなどの三島純文学よりは、日本語も簡単で読みやすい。重みがないせいか、退廃的・破滅的な空気がプンプンしている。そもそも、「新聞の活字がゴキブリになった」ことが自殺の原因というか引き金である。羽仁男がいかに軽薄かつ無責任に自殺未遂をし、そして命を売っているのかを如実に表していると思う。

あることをきっかけに「死にたくない」と思うようになり、必死に生きようとする羽仁男の姿がなぜか滑稽で愚か。「自分の思い通りの死」という幻想の中で飄々と振る舞っていた姿との差のせいだろうか。