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ミニマリズムと読書ときどき映画と音楽。

ミニマリスト見習いのアラサー女。最小化計画の進捗と、本・音楽・映画の感想

貴志祐介 「鍵のかかった部屋」

鍵のかかった部屋

鍵のかかった部屋

悪の教典」以来の貴志祐介

「硝子のハンマー」の名コンビ・防犯コンサルタント(ほんとは泥棒?)の榎本と熱血弁護士の純子が名推理を繰り広げるシリーズ。といっても、推理してるのは榎本ばっかりか…

この本には、「佇む男」「鍵のかかった部屋」「歪んだ箱」「密室劇場」の短編4作品が収録されている。榎本シリーズといえば密室殺人なわけで、今回も練りに練られた密室トリックのオンパレードだった。

佇む男:葬儀会社の社長・大石満寿男が別荘で死亡しているのが発見された。発見者は、司法書士・日下部と専務・池端。完全に密室状態の現場から発見されたのは、「全財産を池端に遺贈する」と書かれた遺言書だった。自殺と思われた大石の死に疑問を抱いた日下部は、純子に調査を依頼し―

鍵のかかった部屋:「サムターンの魔術師」の異名をもつ、プロの侵入盗・会田。刑期を終えた彼は、唯一の親族である姪と甥に会いに行くが、甥は完全に密封された自室で練炭自殺していた。甥の自殺に疑問を抱いた会田は、「古い友人」である榎本に相談し―

歪んだ箱:高校の野球部顧問である杉崎は、結婚に合わせて購入した新居が重度の欠陥住宅であったことに強い憤りを感じていた。工務店の社長・竹本を新居に呼び出し殺害する。欠陥住宅ならではの密室を作り上げた彼は、警察の捜査への対応として純子に弁護を依頼するが、現場には警察に協力要請された榎本がいて―

密室劇場:劇団ES&Bの公演を観に来た純子と榎本。変わり者の役者がそろった劇団の公演を楽しんでいた二人だが、楽屋では殺人事件が起きていた。現場から逃げるには、犯人は公演中の舞台を横切らなくてはいけない。果たして犯人はどうやって現場から逃げたのか―

「佇む男」と「鍵のかかった部屋」は、犯人が分からない状態で話が進む(犯人の目星はついてるけど)。全体的に緊張感があって、おふざけも少なく、本格的なミステリーといった感じ。

「歪んだ箱」は犯人・杉崎の目線で、榎本がトリックを暴いていくのを見ている感じ。淡々と真相解明していく榎本と、だんだん焦りを隠せなくなっていく杉崎の対比が面白い。

「密室劇場」は、おふざけ丸出しの作品。登場人物もバカバカしいし、トリックも脱力系。軽い気分で読める。


悪の教典」でも思ったけど、全てきれいに解決しました!という作品はない。もちろんトリック自体はきれいに解決するけど、伏線はそのままになってたりして、もどかしい気持ちになる。それも貴志氏の策略なんだろうな。