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ミニマリスト見習いのアラサー女。最小化計画の進捗と、本・音楽・映画の感想

香西秀信 「レトリックと詭弁 禁断の議論術講座」

レトリックと詭弁 禁断の議論術講座 (ちくま文庫 こ 37-1)

レトリックと詭弁 禁断の議論術講座 (ちくま文庫 こ 37-1)


会社で「日本語の勉強しなきゃー」とこぼしたら、30代半ばのちょっとズレた先輩がこの本を貸してくれた。「いや、なんか違うでしょ・・・」とは思うものの、いかにも私の好きそうな本を貸してくるあたり、何かにつけて「俺たちは考え方が似てる」と言うのは冗談じゃないらしい。

レトリック(修辞学)とは、弁論や叙述の技術を研究する学問分野。そんな分野があったとは知らなかった。修辞とは、「言葉を美しく巧みに用いて効果的に表現すること」。
香西秀信氏は宇都宮大学の教授で修辞学者。今年の4月に55歳で亡くなられたそう。この本を読んだ感じだとかなり面白そうな人だから、もっと早く出会い(?)たかったなぁ。

詭弁とは、故意に論理を破綻させて自分の有利な方向に話を運ぶことをいう(意図的でなはなく論理が破綻した場合は、誤謬)。この本では、あらゆる「詭弁」を取り上げながら、そこに込められた議論の技巧を説明している。簡単に見抜ける詭弁もあれば、ぐうの音も出ないような巧妙な詭弁もある。それに併せて、反論のしかたも紹介されている(相手の虚偽を指摘することが基本らしい)。まぁ、詭弁だということに気付いてすぐ反論が思いつくだけの、頭の回転の速さがないとどうしようもないんだけど・・・

レトリックに精通しているせいなのか元の性格なのかは分からないけど、著者の語り口にも独特のスパイスが効いている。私は論破されることに喜びを感じるタイプ(どんなタイプ)だから、たまにニヤついてしまうぐらい面白かった。

プラトンアリストテレスといった紀元前の人の名前が出てきたことには驚いた。弁論っていうのは、まさしくヒトという生き物に根付いている問題らしい。私みたいな議論好き・論理好きな人間は、プラトンの言う「議論の有害さ」を認識しておかないといけないね。