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ミニマリズムと読書ときどき映画と音楽。

ミニマリスト見習いのアラサー女。最小化計画の進捗と、本・音楽・映画の感想

宮部みゆき 「楽園」

楽園 上 (文春文庫)

楽園 上 (文春文庫)

最近テンションが上がらなくて困っている。そしてテンション低いと良いことが起こらなくなる。これはいかん・・・悪循環だ・・・と思って久しぶりのミステリー!と思ったら、著者のリハビリ本だった。ちーん。

宮部みゆき「模倣犯」の連載(週刊ポスト)は、1995〜1999年に亘る長期間だったらしい。実は「長すぎでしょ」と思って読んでいない。単行本全5巻を読み切った後だったら、「模倣犯」の執筆で凄まじいストレスを抱え込んだという著者のリハビリにも感情移入できたんだろうと思う。

「模倣犯」の事件から9年後。主役は「模倣犯」にも登場したライター・前畑滋子。ある日、敏子という地味なおばさんから奇妙な依頼を受ける。敏子は、40を過ぎてから息子の等を独りで産み、貧しいながらも二人で幸せに暮らしていたが、少し前に等を事故で亡くしてしまったという。敏子の依頼とは、素晴らしい絵の才能をもつ等が遺した、幼稚な「ちゃんとしてない絵」について調べてほしいという内容だった―

単行本で上下巻。上巻の3分の2くらいは結構な勢いで読めてワクワクしていたんだけど、その後はもう一気に結末が読めて、大したどんでん返しとかも無く、その割に登場人物が多くてゴチャゴチャしているし、何とも言えないモヤっとした気分になった。

本書の緊張感は、終盤に向かって低下していく。というか、上巻ですでに展開が読めるだけに、「やっぱりそうなのね」という確認作業をしていくだけになる。後半は人間ドラマがメインだ。

ミステリーを求めて読んだからちーんとなってしまったけど、著者のリハビリ本だと言われれば納得はできる。模倣犯がどれほどの本かは知らないけど、冷酷な殺人鬼の残虐な犯罪を4年間も書いていたら、人間のきれいな部分に触れないと不安になるだろう。ミステリーの部分が薄まるのも仕方ないかもしれない。

そういえば、あまり親しくない人に突然人生相談をされる時のモヤっと感に似ている。やっぱり模倣犯を読んでからの方がいいんだろう。

今回のテーマは家族だ。厄介でうるさくて邪魔で憎くて、何度もいなくなればいいと思う。何度も縁を切ってやると思う。それでも捨てることのできない家族という存在。そんな家族が犯罪に手を染めたとき、もう手に負えないと気付いたとき、果たしてどうすることが正しいんだろうか。と、永遠に答えの出ない問いが投げかけられる。

この本を読んでいたら、かつて大問題になったレイプサークルを思い出した。犯罪に加担した息子や娘を、彼らの家族はどうしたんだろう。