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ミニマリズムと読書ときどき映画と音楽。

ミニマリスト見習いのアラサー女。最小化計画の進捗と、本・音楽・映画の感想

ペテロの葬列(宮部みゆき:2013)

 

ペテロの葬列

ペテロの葬列

 

 久々の長編ミステリー。最初の数ページだけで読者を引き込むあたり、さすが宮部みゆきだなぁと感服した。

主人公の杉村三郎は、大企業・今多コンツェルンの会長の娘婿として、グループ広報室に所属している。ある日、元今多コンツェルン取締役の森氏のインタビューを終えて乗り込んだバスが、拳銃を持った謎の老人によってジャックされてしまう。見た目はひ弱な老人であったが、三郎と運転手を含む7人の人質をその巧みな弁舌で操り、その支配下に置く。警察に「3人の人間を探し出して呼べ」という要求を提示する一方、老人は人質たちに慰謝料の支払いを申し出る…

貴志祐介のようなゴリゴリのミステリーではなく、人間ドラマの色が多分に入った作品だった。杉村三郎が登場する作品としては、「誰か」「名もなき毒」に続く3作目であるらしい。どっちも読んでないけど、本作は単体としても十分に面白かった。

題名に「ペテロ」とあるように、最も端的なテーマは「改心、悔恨」である。そこから、多くの登場人物が人生の岐路に立つという話に繋がる。悪人は己の良心に目覚め、凡人は己の人生を見つめ直す。比較的単純な展開ではあるけど、個性豊かな登場人物たちの人生が絡み合い、その中で色んな選択がなされていくので、退屈することがなかった。

それにしても、こういう人間味に溢れた小説を読むと、どうも体がムズムズしてくる。0か100かの世界に飛び込みたくなる。アウトレイジを観たくなる。灰色の世界で妥協できるようにならないとなぁ…(゜ー゜)