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ミニマリズムと読書ときどき映画と音楽。

ミニマリスト見習いのアラサー女。最小化計画の進捗と、本・音楽・映画の感想

チャイルド44上巻(Tom Rob Smith:2008)

 

チャイルド44 上巻 (新潮文庫)

チャイルド44 上巻 (新潮文庫)

 

 やっと新生活に慣れてきたので、とりあえず読書。

この本は「子供たちは森に消えた」と一緒に買って、そのまま放置してた。実話である「子供たちは~」を先に読んで衝撃を受け過ぎたので、それを基に書かれた小説なんて読む気に慣れなかったんである。でも今回何気なく読み始めたら、さすがにこのミス1位を獲得しただけある!といった感じ。緊張感が凄い。

1953年ソヴィエト連邦スターリンの統治下にあるこの国で、レオは国家保安省捜査官として順調に出世街道を進んでいた。ある日、部下のフョードルの息子が列車に轢かれて死亡した。「この国に犯罪は存在しない」という前提から事故死とされるが、遺族は殺人事件であると主張する。レオもフョードル一家の話を聞くうちに不審な点に気付くが、国の考えに反論することは許されないことであり、一家を脅して異論を封じ込めてしまう。一方レオは、獣医のブロツキーをスパイと睨み、逃走した彼を追うが…

上巻では、この時代のソヴィエト連邦という国がどういうものだったのか、この時代の人がどういう暮らしをしていたのかということが、レオの動きや感情描写と共に詳細に描かれている。国に対する忠誠心が何よりも重要視され、国の方針に反対する発言や行動は文字通り「粛清」される。逮捕されれば、誰もが劣悪な環境で拷問され死んでしまう。国に仕えるエリートとして比較的自由な暮らしをしているレオでさえ、彼の失脚を望む同僚にいつ陥れられるかと、緊張しながら暮らしている。この国で心底幸せだった人っているんだろうか…。

この作品を包む緊張感は、これまで読んだミステリーとは一味違った。国家という強大な権力によって作り出された強烈な不信感のせいだろう。徐々に連続殺人事件に繋がり始めたところで、下巻に続く。