読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ミニマリズムと読書ときどき映画と音楽。

ミニマリスト見習いのアラサー女。最小化計画の進捗と、本・音楽・映画の感想

ぼくは眠れない(椎名誠:2014)

 

ぼくは眠れない (新潮新書)

ぼくは眠れない (新潮新書)

 

 2015年の読書初めはこの1冊。といっても特に意味はなく、本屋さんをぶらぶらしてたら目に入ってきたというだけ。椎名さんが不眠症だとは知らなかった!

椎名さんに異変が生じ始めたのは、サラリーマンを辞めてフリーでやっていくか…と悩み始めた頃だそう。それから変な事件に巻き込まれたりするうちに、睡眠薬の力を借りないと安眠できないことが増えていく。結果、今でも薬とうまく付き合いながら、不眠症と対峙しているらしい。

この本では、不眠症という問題を中心として、非常に雑多なエピソードが語られる。椎名さんらしく海外での珍エピソードを交えながら現地での睡眠状況を語ったり、色んな文献から得られた睡眠についての知識をまとめたりしている。深刻なムードが漂うエピソードもあるけど、全体的には著者から淡々と話を聞いているという感覚に近い。不眠になったことが無い人にはあまりピンと来ないかもしれないけど、不眠ってどんなもんなのか知るには十分な「体験記」だ。

私もなかなかにすぐ眠れなくなるタチで、1週間ほとんど眠れないということは結構頻繁にある。そのくらいなら死にゃしないし、慣れてきて動揺しなくなった。さすがにマズイと思って病院に行ったのは、4ヶ月間ほとんど眠れず体重が急激に減った時だった。やはり人生の岐路に立っていた。
眠れないという焦りは、思いのほか急激に心身を蝕んでいく。お酒を飲んで無理やり寝ても、少しの物音で目が覚め覚醒してしまう。めっちゃくちゃに身体を動かせば良かったのかもしれないけど、日々のやるべきことをこなすだけでクタクタで、それどころじゃなかった。もう限界、でも眠れない。いつまで続くんだこんな生活…という絶望感に支配されていた。不眠から鬱、やがて自殺という道を辿る人が多いのも、経験したからこそすんなり納得できる。

この本で、野生動物の睡眠方法が取り上げられている。「警戒心の強い(襲われる危険のある)動物は睡眠時間が短く、眠りが浅い」らしい。とすると、不眠に陥ってる人はやっぱり何かしらの危険を感じているわけだ。椎名さんは、友達の話し声を聞きながらだと眠れると言っている。安心できる環境を作ることが、不眠を克服する第一歩であると思う。
ちなみに椎名さんも指摘しているように、寝酒は何の解決にもならない。長引いているなら、早く病院に行って薬をもらうのがいちばん。そして、ストレスフルな環境を変える勇気、場合によっては逃げる勇気をもつことが大事だと思う。(お、アドラーっぽい!)

本には関係ないけど、椎名さんがもう70歳だという事実にビックリした。元気に物書きを続けてほしいな!