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ミニマリスト見習いのアラサー女。最小化計画の進捗と、本・音楽・映画の感想

誇大自己症候群(岡田尊司:2005)

 

誇大自己症候群 (ちくま新書)

誇大自己症候群 (ちくま新書)

 

 パーソナリティ障害や愛着障害についての著書で知られる岡田氏が、罪を犯した青少年と接触する中で新しく打ち出した概念について説明した本。時系列としては、パーソナリティ障害が2004年なので、そのすぐ後というところ。ちなみに愛着障害は2011年。

「誇大自己症候群」という概念が生まれた背景には、一見普通の子どもが驚くべき事件を起こすことが増えてきたという著者の実感がある。パーソナリティ障害や発達障害が見られたとしても軽度であり、精神疾患を抱えているとは言えない。鑑定では「正常」と判断される。でも何かおかしい…。
そういう子供たちを見て、著者は「正常ー性格異常ー病気」という判断基準が現実社会にマッチしていないと考える。そこで彼らの共通点を探り、「誇大自己症候群」という連続的な概念を打ち出し、その問題点を検討していく。

その共通点が何かというと、現実感の希薄さ・幼児的な万能感の強さ・罪悪感や共感性の欠如・突発的かつ過激な行動・傷付きやすさから来る激しい怒りである。
ケーススタディで取り上げられる犯罪者たちは勿論のこと、「こういう人いるよなぁ」と身近な人が頭に浮かんだりもする。私も一時期この状態だったなぁと思ったww

この共通点の性質から、全体的には「世間知らずの未熟な王様」というイメージがしっくり来た。「幼児そのもの」といった感じである。何が問題かと言えば、この面倒な王様も体はしっかり成長していくし、それなりに知恵もついていくってこと。やることのスケールだけが大きくなる。
本来は、大人になる過程で自分の無力さを知ったり傷付いたりして、社会で生きていくうえで問題になる部分は修正されていくはずである。現代社会はその機会をことごとく奪っている。という主張には、なるほどねと思った。

この本にいまいち説得力を感じないのは、何のデータも示されていないからだと思う。「多くなっている」と言われても、実際多くなってるのか著者の主観なのか分からない。著名人の例を多数出している(パーソナリティ障害や愛着障害の著書に出てくる人とほぼ同じ)けど、断片的なエピソードを持ち出して「ほら、当てはまるでしょ」と言われてもねぇ…という雰囲気になってくる。一般人が理解しやすいようにという配慮なのかもしれないけど、主観性と客観性のバランスが悪いのが残念だった。

塾講師をしていた時に強烈に感じたのは、子どもがいかに影響されやすいかということ。自分しか目に入ってないだけに、ぶれてても曲がってても彼らは自分じゃ気付かない。そこを正してあげるのが、教育のいちばん重要な部分なんじゃないかと思った。