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ミニマリズムと読書ときどき映画と音楽。

ミニマリスト見習いのアラサー女。最小化計画の進捗と、本・音楽・映画の感想

グラーグ57(Tom Rob Smith, 2009)

 

グラーグ57〈上〉 (新潮文庫)

グラーグ57〈上〉 (新潮文庫)

 

 前回の「むかつく二人」から打って変わって超重たいやつ。楽しい気分には全くならないけど、どうなるのか全然予想できずにどんどん読んでしまう。元の題名は"THE SECRET SPEECH"で、グラーグとは強制収容所のこと。


「チャイルド44」の事件解決から3年後の1956年。レオはKGBに疎まれながらも、自ら立ち上げた殺人課での仕事に精を出していた。家庭ではライーサとの信頼関係も深まっていた。しかし、養女として引き取った姉妹ゾーヤとエレナのうちゾーヤには心底憎まれており、なんとか幸せな家族を作りたいレオは頭を悩ませていた。
一方、スターリン死後の権力争いで台頭したフルシチョフにより、スターリン時代の拷問や逮捕が強く批判されるようになる。かつてそのような残虐行為に加担していた人間の下に、その罪を詳細に記した書類が届くようになり…

上巻は、とにかく憎しみと痛みに満ち溢れている。読んでいてとにかく辛い。帯に「レオの冒険」とか書いてあるけど、冒険なんて生温いものじゃない。今回もレオは文字通り命を懸けて闘っている。

今回レオに襲い掛かるのは、過去にレオが逮捕した人々だ。レオのせいで逮捕され、拷問され、生活を奪われ、愛する人を奪われた人たち。レオは変わったのに…と思うけど、そんなことは被害者には関係がない。彼らは変わることすらできない環境に放り込まれたからだ。
罪と罰の問題は重い。何をもって罪を償ったと言えるのか、罰はどこまで許されるのか。個人の裁量に任せたら不平等になるだろうということで法律があるんだろうけど、法律の下で罪と罰の問題が解決するわけじゃないことは、現代社会を見ても分かる。復讐は許されないと口で言うのは簡単だけど、被害者や遺族が自ら裁きを下すのを本気で止めるのは難しい気がする。

上巻ですでに満身創痍のレオ。下巻で救済されますように…と軽く言えない…重い…