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ミニマリズムと読書ときどき映画と音楽。

ミニマリスト見習いのアラサー女。最小化計画の進捗と、本・音楽・映画の感想

グラーグ57(Tom Rob Smith, 2009)

 

グラーグ57〈下〉 (新潮文庫)

グラーグ57〈下〉 (新潮文庫)

 

 上巻で完膚なきまでに叩きのめされたレオ。拷問されても騙されてもゾーヤを救い出すことを諦めない。いやはや彼の運命はいかに。そして彼の愛する人達の運命はいかに…

と、相変わらず明るい部分がひとつもないグラーグ57。戦争ものと拷問ものが苦手な私にとって辛い描写ばっかりだったけど、実際にこういうことが行われていたんだよなぁ。しかも今現在も行われているんだよなぁ。ほんと嫌だな戦争って…

上巻からの流れで「愛する者を奪われていくレオ」がメインになるのかと思ったけど、意外とそこはアッサリめ(?)に流れた。ハンガリーでの対ソ連暴動(ハンガリー動乱というらしい)に巻き込まれたからだ。ハンガリーの民衆vs秘密警察+ソ連軍の戦いが始まってしまっては、レオ個人の事情などちっぽけになってしまう。そこが戦争の怖いところだと思った。
昨日まで個人として認識されていたのに、戦争が始まった途端にロシア人だ、ハンガリー人だ、秘密警察だ、軍人だと固まりで判断されるようになってしまう。相手にも人格があって家族がいて生きているんだという感覚が薄まってしまう。作中でも描写されているけど、その感覚さえ失わなければ、残酷な殺しなんて普通はできないのに。

スターリン前後のロシアの歴史をググったら、残酷な写真がたくさん出てきて凹んだ。それに加えて色んな戦争の写真が出てきて、兵士だけじゃなく女性や子どもが世界中でどんな目にあったか、どんな目にあっているかを目の当たりにして凹んだ。子どもに見せるべき画ではないけど、幸せ(というか快楽?)感じてるのが一般人を襲っている軍人or武装集団だけだと気付けば、抑止力にはなるんじゃないかと思う。それとも人間は永遠に戦争を繰り返すんだろうか。愚かすぎる。

レオ3部作も次の「エージェント6」で終わる。集団心理の恐ろしさと贖罪について考えさせられるシリーズ。もう戦争やめよーよー