ミニマリズムと読書ときどき映画と音楽。

ミニマリスト見習いのアラサー女。最小化計画の進捗と、本・音楽・映画の感想

エージェント6(Tom Rob Smith; 2011)

 

エージェント6(シックス)〈上〉 (新潮文庫)

エージェント6(シックス)〈上〉 (新潮文庫)

 

 いやーほんとひどい。レオを幸せにしてあげようなんてこれっぽっちも思ってないでしょトムさん。レオが幸せになったら小説にならないのは分かるけど、これはあまりにも残酷すぎってもんですよ…

 

チャイルド44が1953年、グラーグ57が1956年、そして本作は1965年。米ソの冷戦真っただ中で、ベトナム戦争や黒人公民権運動の活発化など、世界が混沌としていた時代のお話。レオは政府関係の仕事を断り、工場長として働いている。ゾーヤとエレナも成長し、ライーサは教育者として活躍するようになり、裕福ではないが穏やかな生活を送っていた。
ある日、米ソの緊迫感を和らげる目的で、ソ連の子どもたちがニューヨークに出向いてアメリカの子どもたちと合唱をするという大きな催しが企画される。ライーサはその責任者となり、ゾーヤとエレナも同行することになるが、レオだけ出国の許可が下りずにモスクワに残ることになる。言い様のない不安を感じ反対し続けたレオだが、3人は敵国ニューヨークへと旅立ち…

序盤ではレオとライーサの出会いが語られ、前2作とは少し違う雰囲気で始まったエージェント6。時代が時代だし、レオも一般市民として生きているので、肉体的にひぃぃとなる描写はほとんどない。でもでも精神的にめっちゃ辛い。いや、チャイルドもグラーグも辛かったけど、それと比べ物にならないくらいにレオが可哀想。まぁでも3作目だしシリーズ最後だからってことなんですかね…
作者が意図してるのかは分からないけど、レオを苦しめる要因が常に「純粋さ」だってところが興味深い。確かに悪意によって苦しめられてきたところも多分にあるんだけど、精神的ダメージの大きさでいえば、純粋さから生じた結果によるものが大きいような気がする。

下巻は、大打撃を受けたレオがふわふわと漂っている状態で始まる。あぁ一体どうなっちゃうの…レオ…