ミニマリズムと読書ときどき映画と音楽。

ミニマリスト見習いのアラサー女。最小化計画の進捗と、本・音楽・映画の感想

Slipped Away (Avril Lavigne, 2004)

猫が死んだ。実家で飼っていた猫が1匹死んだ。14年間家族として一緒に暮らした猫が死んだ。
朝起きてトイレに向かったがうまく歩けず、不安を感じた母が自分の布団の中に入れると、そのまま横たわり息絶えたらしい。

仕事を終えて駆け付けた私は、冷たく硬くなった猫を見た。開いたままの眼は瞳孔が大きくなったままだった。寝ているみたいだったけど、寝息は聞こえない。お腹がゆっくり上下することもない。頭を撫でても何の反応も無い。耳が動かない。鼻も髭も動かない。手を握ってもぴくりともしない。呼び掛けても、二度と返事をしてもらえない。ただ耳の先だけは感触が変わらなかった。私は耳の先を撫でるのが好きだった。

母猫とはぐれて側溝で死にかけていたところ、兄がこっそり連れて帰ってきた。それから14年と半年が経った。猫は死んだ。

うちに来て幸せだったんだろうか。私には分からない。私が分かるのは、お腹に顔をうずめたときの匂いと、舌のざらつきと、にゃあと鳴きながら頭をこすりつけてくる時の力強さと、膝に乗ってきた時の温かい重みと、たまに引っ掻かれた時の痛さと、しばらく居なくなって帰ってきた時の安堵と、冷たくなった体を撫でたときの悲しみだけだ。私には、私の五感で感じたことしか分からない。

苦しまなくて良かった。いちばん可愛がってた母親に看取ってもらえて良かった。天国ではゆっくり日向ぼっこもできるだろう。何を思っても、どう思い遣っても、私の考えでしかない。相手の幸せだとか気持ちだとか言っても、結局自分の尺度でしかない。別の個体である限り、その壁を越えることは絶対にできない。
私にできるのは、たくさんの幸せを感じさせてくれたことに感謝することだけだ。ただゴハンが欲しかっただけでも暖かい寝床が欲しかっただけでも、そちらの都合は知ったこっちゃない。それで私は幸せだったから、ありがとう。

しっくり来る曲をこれしか知らない。Avrilが亡くなったおじいちゃんに向けて作った曲らしい。それにしてもすごいピアノだ…

youtu.be