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ミニマリズムと読書ときどき映画と音楽。

ミニマリスト見習いのアラサー女。最小化計画の進捗と、本・音楽・映画の感想

弱くても勝てます(髙橋秀実、2012)

読書

「弱くても勝てます」―開成高校野球部のセオリー―

久々の超ヒット!こんなに笑って爽やかな気分になれる本はなかなかない!

副題「開成高校野球部のセオリー」のまんま、著者が開成高校野球部の取材を続けて出来上がった本。小説新潮に連載されていたらしい。

開成高校は言わずと知れた超名門男子校で、生徒の6人に5人は東大、1人は京大に進学するというレベル。要するに全員が全員、鼻血出るほど賢い。頭脳のイメージが先行しがちな開成高校だけど、そういえば運動部ってどんな感じなんだろう…申し訳ないけどめちゃくちゃ弱そう…と思いながら読み始めた。

表紙を開いて目次を見る。「1回 エラーの伝統」。うん、やっぱりめっちゃ弱いんだろうなー。弱小チームが素晴らしい監督に出会って急成長する的な話なのかな?
そして「1回 エラーの伝統」を読み始める。冒頭から激弱なにおいがプンプンする。やっぱり弱いところから始まるのか、うんうん。と思いながら読み進めて15ページ。


え、強い…?
意外にも成績が良い。大量得点だし。なぜ???

と、素ん晴らしい掴みにやられてどんどん読んでしまった。著者の文章力にも脱帽の1冊!

硬式野球部がグラウンドを使って練習できるのは週1回。強豪校のような豪華な設備もなく、推薦で入ってくるスター選手がいるわけでもない。彼らの強みは、東大出身の青木監督の発想の転換と、部員の頭脳+無駄のない努力だ。

こう書くと天才集団の戦術公開!がテーマのようだけど、全く違う。
部員たちは頭が良すぎるせいか、伸び悩みの内容も一味違う。そこまで深く考えなくても!と凡人が思うところで立ち止まり、深く考察してしまう。例えば「球が前から来る」ことに悩んでしまう。何それ、哲学の話してんの?(笑)
部員の予測不可能な発言に戸惑いながらも温かく見守る著者と、苛立ちすぎて人生論まで持ち出しちゃう青木監督。それぞれちょっとずつズレてるんだけど、それぞれ一生懸命。人間臭くてほんわかした気分になれた。

青木監督の「本能的に大胆にやっていい」という言葉には、心底共感した。塾講師のバイトをしていたとき、小さく無難にまとまろうとする生徒たちを見て、すごくもどかしさを感じたことを思い出したからだ。本能的に楽しいと思うことをやってほしいなんて、そんなこと言う教師はほとんどいない。それを全力で伝えてくれる青木監督に出会えて、開成高校野球部員は本当に幸運だと思う。

いやーそれにしても、高校生の真剣に心洗われるなんて…大人になったんだなぁ(笑)